190407 第55回恂恂会読書会 「落葉の炎」〜黒岩重吾著「西成山王ホテル」より
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今回のチューターTさんが選んだ本。
昭和30年代前半、大阪西成の飛田や山王町を舞台に繰り返される悲劇を描いた短編集の中からの一遍「落葉の炎」。
解説より引用
「落葉の炎」
芦屋の大学教授の息子啓文は、大学三年のある夜神戸のナイトクラブで不二という名の女と出会い、彼女に惹かれていく。「私の生活の場に連れて行ってあげるわ」と、彼女が啓文を連れて行ったのは、西成だった。自分の知らぬよどんだ環境に驚く啓文は彼女を突き放す。
刺激の多いめまぐるしい現代では、打算と情欲に衣を着せた愛情が幅を利かせているようであるが、そんなものでは割り切れない愛情も多いのだ。
不二は、神戸の暴力団会長を父に持ち父を憎んでいる。父親への復讐から、外国人相手に身をまかせ報酬を得る事を繰り返している。不二と啓文が結ばれた翌朝、不二はモルヒネを自分に注射して自死する。
ツッコミどころ満載です
啓文の父親が急死して、芦屋の家500坪(!)を売却して、母親はその資金で母親は新地で店を3店持つほどになるんだけれど、「遺産相続は現金払いやから、売却するしかないわね?」
不二は、啓文を誘って断られた為に西成の見知らぬ家に放火して自分も死ぬつもりだったようだけど、結局顔などに大やけどして助かり、放火された家の人は二人焼け死んでしまう。「そら、あかんやろ!!」
「最後の自殺するシーンは、この短編を終わらせるが為に自殺シーンをこしらえたのではないかしら? ちょっと唐突な作り」
いずれの親も子供を愛してはず。その愛情の伝え方が足りなかったのか、受け取る方がひねくれていたのか、そのすれ違いがも少し短かったらこんな悲劇は起こらなかっただろうに。
「わぁーーー!!」
救いようなく暗くて、読み終わって心がざわざわする短編でした。
決してオススメしません。